実質的には無限にありうるキャスティングの中にその作品にとって理想の完璧なキャストというものが仮にあったとして、有限回の声優決定会議の試行でそれに辿り着けるとは限らない、という事。
 そして現前するキャストが最善のそれであるかどうかの検証も実際的には殆ど不可能な事。

少女コミック12号、13号

 特に名を秘す某中里一*1という変質者が私の知り合いにいるのですが、この男がこのたびとうとう女子小中学生の思考回路をどうにかする事*2に宗教的な情熱を覚える奇病を発症いたしまして、俺に少コミのレビューをしろと命じてきました。
 変質者とは言え一応先輩なので、後輩の俺は言う事を聞かなくてはならないので、します。と言いたいところですがすみません気力が沸きません無理です。
 とりあえず書けた分だけ。
・悠妃りゅう「すぺしゃるダーリン」
 新連載。
 主人公の宝田すみれの彼氏・春日はカリスマ美容アドバイザー。
 と言う事は綺麗になるためのアドバイスをしてくれると言う事で、一見実用的ですが、つまり醜い顔をばっちり見られる・素材の悪さを一発で見切ってくる相手と言う事で、あまりドリーミーな相手とも思えません。
 ドリーム世界の住人である権力者の超イケメンがへこい私に何故かベタぼれ、と例の少コミイズムというやつは整理できるわけですが、すみれが101回告白してやっとOKしてもらった、という二人の馴れ初めといい、美容アドバイザーという実用性に偏りすぎたイケメンの設定といい、何か地に足が着きすぎた印象を受けます。
 
 ええ、もう打ち止めですよ! 助けてください!
 えー、全体として、『マリみて』を意識しすぎているように思いました。ハイソ学園の謎システムもの多すぎ。
 あとモテって言葉がコミっ子にとって大変重大なアレであると知れました。
 モテとか非モテとか言いがちな人は読むとよい、と思いました。ていうかここが恋愛至上主義の現場でした。あまりに興味がもてません。
 女の敵は女イデオロギーも充満してます。私以外の女はレイプされても良いむしろされろという主張が感じられ、大変女出て来い女と思いました「愛を歌うより俺に溺れろ」に。
 なお、新條まゆの「バカでもかけるまんが教室」はまゆたんという人の凄味をひしひしと感じさせられます。オススメです。
 ついき。
 女の敵は女イデオロギーと女性同士の友愛の素晴らしさを謳った『マリみて』がどうして両立するのかと思いきや『マリみて』読者が憧れる先は豪華な学園に過ぎない、という解釈なのか、編集部。んー、それが微妙いからなんかバタバタと連載陣入れ替えしなきゃなんなくなってるんじゃないの?

*1:http://kaoriha.org/

*2:ネット上にあまり感想が露出しない少コミならばブロガー10人が結託すればネットでの議論を仕切れ、それを通じて編集者の無意識になんらかの影響を与え、十年後の三十万乙女の思考回路をある程度支配する事ができる、という。迂遠過ぎるわ! 結果が目に見えなすぎるわ!

2005年ラノリン杯(試験用)
 折角なので再掲。
http://d.hatena.ne.jp/K_NATSUBA/20051231#1136177887

 中村九郎のデビューイヤーでした。

 新城と古橋はやっぱりモノが違いました。

ある日、爆弾がおちてきて (電撃文庫)

ある日、爆弾がおちてきて (電撃文庫)

 あまりに圧倒的な小説技術。入神の域とはこの事。
黒白キューピッド (集英社スーパーダッシュ文庫)

黒白キューピッド (集英社スーパーダッシュ文庫)

 身につまされるお話でした。加藤ラブ。
ロクメンダイス、 (富士見ミステリー文庫)

ロクメンダイス、 (富士見ミステリー文庫)

 語られる時点と世界が生み出される時点を限りなく接近させる、理想の文体。
サマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)

サマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)

 すごいのはやっぱ2巻のラスト。
超妹大戦シスマゲドン (1) (ファミ通文庫)

超妹大戦シスマゲドン (1) (ファミ通文庫)

 正しすぎる。