ローゼンメイデンオーベルテューレ

 相手がジャンクであるかどうかと相手をジャンクと罵る事の是非に、論理的な関係はない。相手に腹があろうがなかろうが、悪いものは悪いのだ、と信じたればこそ、真紅は水銀鐙に詫びを入れたのだ、原作では。
 その強烈な誇り高さを、やはりアニメ版のスタッフは理解していないような気がする。多分、こういうのが少年漫画が読めない、という現象です。『ローゼンメイデン』はけっこー少女漫画少女漫画したコマ割してるんだけど、なんつうか、主題的に。
 えー、そういう男らしさが一足飛びにジュンにもインスコされてひきこもり脱出、とならないあたりが多分、原作の繊細な手つきって奴で、作品内の現象に一々心情主義的な説明を付与して回るような作劇を、繊細でないとは言わない、それもまた、繊細さのある表れではあると思うのだけれど、それが『ローゼンメイデン』らしいのかと聞かれると大変に微妙い。因果を1対1対応させる粗雑さ、と原因をまるで示さない粗雑さ、と対比してもいいけれど。