山川進『学園カゲキ!』

学園カゲキ! (ガガガ文庫 や 1-1)

学園カゲキ! (ガガガ文庫 や 1-1)

 いや、面白いと思いますが。
 こんなにいくらでも美少女出していい設定なら文体の貫通力ガンガン上げて……とも思うけれど、それをやると主人公の造形がずれる。
 色々案外ギリギリなバランスの、古拙趣味な外観に反して、あるいはそれに相応しい、まさにある意味ではひじょーにウェルメイドな一作。てか、これをウェルメイドと言える人は物語厨ではないんじゃなかしらね。
 ウブちんの陰謀http://d.hatena.ne.jp/USA3/20070529#p1がなくても授賞には相応しい作品。
 なお、ウブちんの「物語」は「記述の運動」、「テーマ」は「広がり」と読み替えると、「正しくてもっとも」http://kaoriha.org/nikki/archives/000365.htmlな発言に結構なります。佐藤亜紀『小説のストラテジー』は読むとよいと思うよ。