明けまして喪中です。
 年末年始は平野綾の将来を危ぶんでばかりいた気がします。
 俺の将来のほうがアブねえ。までもTBSのトライアウト特集みていーじゃん千万単位でもう稼いでるんだからー、て言い出すのも無粋な話。
 徹底的にハードに危ぶむぞー。

 えっと、つまり、吾人結構平野綾の評価高いのですわ。
 『ハルヒ』と『らき☆すた』以外ではそんなに凄味は感じさせないけど、破綻する事はない。最低限伝えるべき情報を伝え損ねる事、声の変化が滑らかさを欠く事、声を作りすぎてその声を作っている声優を露呈させる事、そういう明らかな失敗をしない。
 『ハルヒ』は十代のジョルトブローで、そのジャンル一般の素晴らしさには無論達してるし、『らき☆すた』は声と演技を作りきって無理がなかった。
 昔指摘した*1中間領域のぎこちなさはそれなりに克服しつつあるけど、微妙な感情の震えとか、超高速スラップスティックしゃべりとか、ド強い感情の乗った叫びとか、そういう派手な技巧はまだ見せてないし、そもそも今はまだ見せられそうにない気もするけれど、それを除けば十分完成されている、一軍レギュラーである事にはとりあえず文句はない水準のいい声優だと思うのですよ。
 野球で言えば、六番タイプでひとまず完成している、とでもいいますか。六番ライト2割7分3厘10発50打点60三振6盗塁260刺殺1失策8補殺、みたいな。10発打てるパンチもあるから、絶好調時は四番を任せてもいい。けど、通年の成績はクリンナップだとやや不満、守備は堅実で飛ばせる当てられる走れるから下位になら置いておきたい、そういうイメージ。
 多分、平野綾下手論はオールジャパンの四番としてはあてにならない論なんだろうと思うし、それ自体には反対しないんだけれど、なんかこう、そこから敷衍してお前バットに芯入ってんのかよ級みたく言い募るのはどうかと思う。
 そういう議論の根拠は中の人主義*2イデオロギーでしかないでしょう。この場合のイデオロギーは虚偽の観念の意。
 で。
 何分、平野綾はまだ二十歳。六番タイプとして、ひとまずの完成はしているけれど、まだまだ上のレベルは当然目指せるし、そもそも素材型として入団したはずで、5年後10年後にジャパンの四番は打てばいい、はずなんです。
 だから、今は褒めて伸ばしていこうじゃない、と思いたいのだけれど、仕事の一気に増えた2006年から、明けて2007年、声優仕事減らしてシングル3ヶ月連続リリースとかそういう方向へ突っ走る。一発当ててネームバリューを付けたらあとはガンガンCD出してバースデーライブで生き延びるバースデーライブ声優でも目指してるんじゃないか、という仕事の仕方。ものっそ不安なわけです。バースデーライブ声優化は電波系声オタにはなんにもいいことないですから。
 不安だなあ。
 ところでジャパンの四番をどうやって打つのか、のイメージが微妙に漏れちん持ててなかったりもします。ちょい華やか(な分却って使いにくい)木村亜希子、くらいの完成形しか見えてこない気がどうしても。

*1:http://d.hatena.ne.jp/K_NATSUBA/20060805#1154759194 「平野綾水樹奈々のストロングポイントである中程度に強い感情の表現がぎこちなく」

*2:http://d.hatena.ne.jp/K_NATSUBA/20070421#1177105208 「声優が中の人でなければならないのだとすれば、アニメから流れる音声がある声優のものとして認知されることは、それ自体、大きなマイナスである」「声を覚えてしまった声優は、中の人派にとってはオートマチックに存在論的に劣った=ヘタクソ・ミスキャストな声優」