乃木坂春香の憂鬱

 植田佳奈がある意味安直に、最近だと逆に珍しい感じに使われているのがよいです。もはや関西弁じゃないだけで嬉しい。
 他のことにはあまり感心しませんでした。
 『かのこん』を見た時にも思ったのだけれど、なにかこう、小説原作の萌エロコメって内面の臭みが抜けないよね。
 説明が難しいんだが、「あ、ここ原作では内面描写を入れて間をとったな」ていうなんかヘンな溜め。ハプニングエロスに対するこれみよがしな構えっつーか。ハプニングエロスに叫び返さないと生じるのかな、この感覚。漫画原作だとこういうのは基本的にない。ハプエロとリアクションを同じコマに描いてしまえるから。小説だとエロがらせるための文章量とその文章量に負けない重さ*1のリアクションは同時には展開できないからねえ。『ご愁傷様二ノ宮君』にはあまりこれを感じなかったんだがうまく処理していたのか原作がよほど淡々と進んでいるのか。
 とまあそんな小説萌エロコメ一般のアレを除いた時、隠れオタというモチーフはなんというかこう、首を傾げます。お嬢様とオタクって相性いいと思うし。なんせお姫様が『トルーパー』大好きだったりする国だぜここ。まあ俺と同学年の某原画家の証言に拠れば静岡ではオタクいじめとか全然あったらしいですが。俺らの高校時代くらいにも。にしたって、春香があそこまで隠すのってさあ、いや、隠すのはまあ好き好きだからいいんだけど、その隠しているオタク趣味に対する周囲の反応がなんというか、そこまで関心もって積極的にキモがらんでも、と思う。信長くんくらいあっさりオープンリーチしたっていいじゃない。なんかこう、ご都合っつーか作家の手が透けて見えるというか。
 俺よりちょい上くらいのクリエイターって粗雑な宮崎事件&その後のオタ受難モチーフを使いたがる、という印象があるんですが、原作者がそれくらいの世代なのかしら。まあ世代の強迫ならば仕方がないがヤングメンに受けるのかどうかっつうとアニメ化されるくらいには受けてるんだろうなあ。かったるいと思ってしまう俺の心が汚れているのか。
 あとアレ。キャラクターがすげえ枚数で踊り狂うEDをこういう萌エロコメラノベ原作アニメにくっつけるのは切なくなるのでやめてほしい。
 『ハルヒ』で京アニだったからあの踊るEDは話題になったのであって、踊るEDなら話題になるわけじゃないですから!
 いやあ、『ハルヒ』よりむしろ凝ってるあたりねえ、なんかねえ、切なさいや増すんだよねえ。しかも多分『ハルヒ』はただの萌エロコメであるとみなしてさ、『ハルヒ』同様萌エロコメなラノベ原作、踊り狂うED、本編も美麗作画、外れるわけはねえ、という判断をね、誰かがしてこのアニメのプロジェクトが成立している気がするのよね。
 まあ美麗作画の萌エロコメだからDVD初動3000〜5000はいくんじゃないかしら。でもそれでペイする作りには見えないんだよなあ。

*1:分量をそれなりに割くのが常套手段だが、それをやるとタルくなる。