ただまあ普通に気に食わないのは声優ファンを名乗る人々が自分の応援している声優が実力以外の要因で仕事を取っているに違いないとあまりに無造作に前提してしまっている事であってね。もうちょっと自分の応援している相手を信じてもいいんじゃない、と思う。ショービズの世界って多分そんなには甘くないよ*1*2
 仮に事実実力とは無関係に仕事をとっているのだとしても、だから実力は大変に低いのだとしても、アニメ制作者が、どこかから押し付けられた、そのまま表に出しては作品の質を下げるだけのヘタクソを放置しておくものだろうか。何らかのケアがなされていると考えるのが普通ではなかろうか。そのなんらかのケアこそキャスティングであり、演技指導であり、声優を通じてアニメを見るその醍醐味の元になる部分なのではないのか。
 そういうものについて考える事、そういうものを感知する事は、複雑怪奇な声優事務所やレコード会社、アニメ製作会社の関係を把握する事に比べて本来は容易だ。目の前にあるアニメを見れば/に耳をすませばいい。何故それができないのかと言えばそれはしようとしないからで、ただの趣味嗜好の違いといえばそれまでだが、声優ファンを名乗りながら、声優がその本領とすべきはずの、作品の有機的な一部をなす様に興味を持たないというのは単に理解に苦しむ態度である、俺にとっては。

*1:ファンだからこそ、自分が盲目的でない事を証明したい=応援対象の客観的な素晴らしさを明らかにしたいと考えて、その欠点を血眼になって探してしまう、という事はある。それ自体は健全な考え方と言えなくもないが、自分が見つけ出した欠点を絶対視するに至ってはこれは単なる自家中毒である。そのような欠点を他の同業者にも見つけ出し、その中で自分の応援対象がどれくらいかを図ってこその本当のファン、応援対象のパフォーマンスの理解者だ。

*2:さらに付言するのならば、匿名の場での議論の進め方がこのようないらぬ譲歩を誘導しやすい、という問題はあるだろう。例えば誰かが任意の声優Xの演技は上手い、と言い出す。これに真正面からドヘタじゃねえかてめえなに聞いてんだ、と言い出してはただ場が荒れるだけである。だから、場を荒らさないためには、このような発言に対する反論は、確かにXの演技は上手いがライブでコールを入れても嫌がらないので気持ちが悪いとかXは芝居は出来るけど顔が伝説の化け物のようだとかいうような、相手の意見を基本的には否定しないものでなければならない。Xは演技が上手いという最初の発言者の意見は一切の検討を経る事無く場の空気として定着していく。匿名掲示板とは先に言ったものが勝つ世界なのだ。