んーと。
http://d.hatena.ne.jp/genesis/20061109/p1
http://rosebud.g.hatena.ne.jp/keyword/結語――ライトノベルの揺籃?kid=43
 エロゲの落ち込みは2002年が一番激しかった*1わけで、売り上げはアニメ化効果もあって回復しています。http://d.hatena.ne.jp/sixtyseven/20061010/p2のデータ*2は一番素直には、2003年からエロゲ原作もラノベ原作もどっちも増えた、と読むべきでしょう。これは、アニメ放映本数の異常な増大を背景に、TVアニメ化の敷居が下がった結果です、単純に。
 90年代前半には、『タイラー』や『スレイヤーズ』のような、00年代に入っても新作が求められるような大ヒット作でなければアニメ化はされなかったのです。というか、アニメ放映本数の異常増大が起こる前は、基本的には三大少年誌*3連載作品以外にとってはTVアニメ化というのは大変に敷居の高いものだったわけで。
 2004年からのライトノベル語り本ブームはただのライトノベル語り本ブームって思えばいいんじゃないでしょうか。そういうものが需要はあったけれど供給されてはいなかったから売れた。
 じゃあ何故そんな市場が見過ごされていたのかというと、恐らくは90年代の奇妙なオタクカルチャーの縦割り性、大塚英志広井王子といった一部の例外とアニメ脚本家の副業的ノベライズを除くとライトノベルの書き手がその他の場所で活躍する機会がゼロに等しかった事、そしてそのためにムック本編集者の目にライトノベルが留まる機会があまりなかったからなんじゃないかと。
 それが00年代以降目に留まりやすくなったのは、まず前史として『星界の紋章』でSFがライトノベルに接近したところで上遠野浩平が登場、まずはSFとライトノベルの間で書き手の往来が起こり、その後90年代ライトノベルの影響下にある世代の舞城、佐藤、西尾の脱格系の登場でミステリがライトノベルに接近し、ジャンルフィクションの世界がまずライトノベルを発見して――とかなんとかまあ、言えなくはないけれど、要はおっさん小説の場であるべき講談社ノベルス戯言シリーズが売れたから、じゃないのかと。
 で、ライトノベルである戯言*4が売れ線だと、ライトノベルは何かあるとおっさん向け系編集者が思ったのが2002年くらいで、それからムック本の企画が通るくらいになるまでもう2年。
 つまり、90年代ライトノベルの影響を受けた世代が大人向け小説の書き手として登場したそのインパクトを少し遅れて後追いしたのが2004年からのラノベ本ブームで、だから現在のラノベに何かあるから語られているわけではないんじゃないかと。
(ついき)
 ということはエロゲの側の理由も怪しくなってくるのであって、多分、モチーフ的な行き詰まり、エロゲの終わりは『嬌烙の館』(1999年)からはじまって『水月』(2002年)で終わっている。
 となると、田中ロミオ、『C†C』(2003年)は既に終わった、枯れ切ったモチーフを組み合わせてエンタテインメントに仕立てる手腕においてこそ評価されるべきであって、その意味で病気の妹が死んで悲しいというありふれたモチーフを描ききってオタクを泣かせた山田一から切り離さずに考えられるべきなんじゃないのかしら。
(さらについき)
 エロゲのおわりはエロゲの爛熟期でもあって、それが声優ブーマー第四世代台頭期の混乱に丁度時期的に被る、というのは大変面白いところであろう。
 無論、声優ブームはコンシューマギャルゲーブームと固く結びついているのであって、この時期にはコンシューマギャルゲーが極めて大きな変化を蒙っているはずで、じっくり検証してみたいところではある。

*1:http://d.hatena.ne.jp/REV/20060128#p9

*2:http://ja.wikipedia.org/wiki/深夜アニメ一覧やhttp://ja.wikipedia.org/wiki/UHFアニメ一覧も参照すべし。

*3:90年代の「チャンピオン」は大変にメディアミックスの弱い雑誌でした。

*4:個人的には少年向けヤングアダルト文庫だけをライトノベルにしておく厳密主義の立場を取りたいんだけど、とりあえずそうだということにしておく。