正しい少年漫画は、美だけを問題にする。

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 えー、ネガティブ。
 キャサリンとヘルガに消滅の危機を知らされつつも、世界戦へと突き進む竜児と剣崎には、最早なんの思想的対立もありません。いや、むしろ、二人は世界で最も近しい二人だからこそ、互いに相争うことを求め合った。
 小賢しい思想的対立は、少年漫画のクライマックスにおいては放棄される運命にあります。描き続けられる戦いの中、相争う二つの魂は浄化されて、いつしか一つになっていく。アストロ球団とビクトリー球団の文字通りの死闘が決着したとき、マウンドにいたのはひとりのアストロ超人で、打席に立っていたのもひとりのアストロ超人であった、というのは、実に実に象徴的な出来事であったと言えるでしょう。あるいは、愛を知る北斗の兄弟が夢想転生をたたき込み合うあの感動的なラオウ編のクライマックス。ヨミとバビル2世の最後の対話の穏やかさ。