栄養費問題。
 まあ、悪い事は悪い事なので、今年のドラフト辞退、とか、関わった人間の処分、とか*1すればいいと思うのだけれど、こういう事件が出来してしまう社会的な背景を思うとやりきれない気持ちにはなる。
 東京ガスの木村に対する供与は家庭事情を慮って、早稲田の外野手に関しては学業を全うさせるため、であるという。
 野球の上手い子供、というのは、親にとっては金の卵だ。
 ドラフト上位で指名されれば契約金だけでン千万、タイトル常連にまで育てば毎年ベンツを買ってお釣りが来る。
 しかし、この金の卵を合法的に換金できるときまで、その家の家計が健全な状態を保ち続けるとは、正直限らないはずだ。
 そんなとき、禁止されている先物取引は、どうしたって魅力的に映るはずだ。その取引がなければ、その子供、将来ある、才能に恵まれた野球選手は、野球をする環境すら奪われるかもしれないのだ。
 ずるをして自軍の戦力を高めようとした、というだけの話ではない。目の前で栄光に包まれた将来を失わんとする一人の若者を救うために、いくばくかの金銭を包む。それは、人情として理解できない話ではないし、日本球界の人材育成にプロ球団がそのような形で貢献してきたという事実は、恐らくはあるはずだ。
 ただプロからの支払いを禁じるだけでは、日本野球の裾野を細らせ、ほとぼりが冷めた頃にまたやる球団が出てくるだけだ。NPB全体で、手厚い野球基金的なものを作り、アマ側がプロに金をせびらなくても選手育成に問題を生じさせないシステムの構築が急務だ、と思う。
 サラリーキャップとかルール5ドラフトとかレンタル移籍とか完全逆ウェーバードラフトとかはまあ、やるにしろ。

*1:前執行部時代の悪事なので球団社長の辞任はいらないと思う。