工藤健策『信長は本当に天才だったのか』
- 作者: 工藤健策
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2007/08/24
- メディア: 単行本
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『信長公記』を丹念に読みなおした、のはいいのだが、その記述を全知全能の天才か、でなければ運が良かっただけの人格破綻者か、の二分法に当てはめていくばかり。そりゃ後者になるさ。丹念に読みなおしたっつったって第一次朝倉攻めとか美濃攻めとかの微妙な敗戦を針小棒大に取り上げるばかり。むしろ、そういう敗戦こそ、些少な戦術的失敗は戦略的成功を覆しはしない、という現実、天才戦略家・信長の勝利の必然性を裏付けているように見える。
で、天下人の器ではない、と連呼し、じゃあ誰が天下人の器だったのかというと、はっきりは書いていないが、どうにも家康をそうだと思っているらしい。信康殺害事件も今時信長主導説だし。信忠の器量に不安を持ったとかいう文字が見えたような気がしたのは流石に気のせいだと信じたい。いえ、気のせいではないですが。
あと、筆者が反駁しようとしている信長天才説があんまりにも脳内。
信長の残虐行為って信長オタはそこも含めてこいつやべえすげえよ、って思ってんじゃねえかなあ。
いや、義元*1・義龍・信玄・謙信の急死が信長の運命を開いた、てのは間違いないんだけど。
大して新鮮な知見はないです。駄本。