長谷敏司『円環少女6 太陽がくだける時』

 マジで傑作。
 やはり長谷敏司は地下に潜ってナンボ。
 地下迷宮の脱出行は『天になき星々の群れ』っぽくて懐かしかった。
 強度の信仰は殆どマゾヒズムと区別がつかなくなっていくわけだけれど、メイゼルの空回りしていたサディズト設定がこの信仰論に絶妙に絡み付いてくるあたりの機微がたまりません。
 地獄に神を求めるエレオノールと仁の観念性/抽象性/英雄性と五十代の三人の生活的な無残の対比も見事。
 誇り高き生活者として、無残に見事に老いること、をライトノベルで主題化しようとよくぞ思ったものよ。
 一方に誇り高き老残、が描かれればこそ、仁が拘る子供と大人の関係も説得的に映る。
 そしてこの国の近代――戦後がやっぱり地下迷宮に詰まっている、そんな長谷先生の地下フェチっぷりに圧倒されまくり。
 もう一度言いますが、マジで傑作。