俺は梶尾真治が大嫌い、といういつもの話なのだが、梶尾真治に「ドゥーピンピック2004」という短編があって、まあ要はドーピングアリアリの競技大会、という話なんだけど、これが薬物の力で人体はどこまでのパフォーマンスを搾り出せるか、という極限への思考実験ではなく、ドーピングのやりすぎでみんなフラフラ、というだけのクッソつまらん、人間心理を安易に普遍視してわっかりやすーいくだらないアイロニーを持ち出すだけの駄作で、こういうチンケなことばっかやってるから日本SFはダメなんだよ、と思ったものでした。
http://files.mlb.com/mitchrpt.pdf
 94ページ。

Sometime in mid-September 2000, a clubhouse employee with the Arizona
Diamondbacks discovered a bottle of anabolic steroids and several hundred pills in a package
that had been mailed to the Diamondbacks’ ballpark in Phoenix. Clubhouse attendants knew that
the package had been intended for Alex Cabrera, then a player on Arizona’s major league roster,
who had been searching for the package for several days. They gave the box to the team’s
athletic trainer and told Cabrera that the package probably had been lost.

【意訳】
 2000年七月の半ば、アリゾナダイアモンドバックスの球団事務所の従業員は、フェニックスのダイアモンドバックスの球場にあてられたアナボリックステロイドのビンと何百もの錠剤の入った荷物を見つけた。球団事務所のアテンダントはその荷物が当時ロースターに入っていたアレックス・カブレラのものだと知っていた。カブレラはここ何日か、その荷物を探していたのだ。彼らはその箱をチームのトレーナーに渡し、カブレラに荷物は恐らくなくなった、と告げた。
 
 カブレラステロイド疑惑。
 西武時代に使っていたかどうかはわからないけれど、もし、使っていたとしても、あの弾道は事の善悪を超えていた、と思います。SF作家のチンケな現状維持ヒューマニズム埒外にある、超人的なパフォーマンス。
 ドーピングはよくない――選手自身の安全に関わる事なのだけれど。
 無論、ドーピングなしであの打球だったらカブレラは本物の超人。卓抜した打撃技術はクスリじゃ身に付かないしね。