true tears

 演出・脚本・作画の呆れるほどの丁寧さが微妙に作品のテンションに繋がってないのは、結局声優が悪い、という結論だなあ。
 まず、石井真の声と芝居がもっさりし過ぎている。
 女性陣もねえ。つまるところこれ、豊口めぐみ水樹奈々がいない『シムーン』なんだよね。落ち着きどころがない。上に、あやひーは実に器用にヘンな女を作れてて、そこの上手さはまあ認めるけど、なんだろう、上手くてどうする、という役だろう、これ。言い換えると、アイちゃんが森永で乃絵がちるちるだったらそれだけでガッとテンション上がってるはずなんだ。落差が出るから。
 最終的にあやひーの上手さが微妙な心の変化を浮き彫りにし、井口の力感がドラマを盛り上げ、名塚がふっと切れる、十話くらいで訪れるとんでもねえハーモニーを当て込んでいる、のはわかるのだが、ううむ、掴みとしてどうなのか
 もうちょっとわかりやすく繊細げでもいいんじゃねえかなあ、あと、やっぱり、主人公の声と顔。
 田舎っぽいもっさり感が欲しいのもわかるが……。

 ところで抱きとめて、って両手を広げる乃絵とか可愛い。
 声優が馴染んでさえ来れば無敵だろう。
 つーか、ジュンジュンは、宮大工の作る百年後にしっくりくる木組み、みたいなアニメの作り方をしすぎだと思う。長期シリーズの原作モノはそれでいいし、オリジナルでも最終的な感動はそうでなければ十分大きくはならないが、が。