懐論。
 日常芝居をどれだけ大きな声の変化でこなすか、という部分で、大きいとそこで会話がふっと落ち着く、という事があります。
 こういう芝居を、懐の深い芝居、こういう芝居を出来る・する声優を懐の深い声優と個人的に呼んでいます。
 懐は深けりゃ深いほどいいのかというとこれは微妙で、テンポよく或いは人間味なくぽんぽんと話を弾ませて行きたいときには懐の浅い声優を使っていった方がいい。
 前で捌くタイプと呼び込んで打つタイプ、とかいう言い方もたまにします。
 呼び込んで打ったほうが力は伝わる、前で捌いたほうが小細工はしやすい。
 対話が落ち着くか弾むか。
 弾ませるべきキャラには懐浅いタイプ、落ち着かせるべきキャラには懐深いタイプと適材適所に声優を配置するのが大切、という、まあ折衷主義的な結論なのだけれど。
 前で捌く声優の代表例は桑谷夏子、呼び込んで打つ声優の代表例は水樹奈々だと思う、なお。
 『True tears』の一話を見たときには、あやひーもなんか泳いで手打ちの感が拭えなかったし、高橋理恵子は前で捌く声優代表、井口裕香は狙いにいく大変化はあるけど日常芝居の抑揚はあんまり派手につけるタイプじゃない、名塚も感情揺らさないときは簡単にはたきたがるタイプで、どうにも落ち着きどころがなあ、と思っていたのでした。