天野こずえ『ARIA』12

ARIA(12) (BLADE COMICS)

ARIA(12) (BLADE COMICS)

 話畳むのにバタついていて、それは既に『AQUA』『ARIA』のノリではない、と言いたいが、ノリが変わったのは何も最近の話でもなんでもないのでヌルー。
 天野こずえらしい、地味にねちっこい心理描写が効いていて、やや苦い後味を残すいい終わり方だったのではないか、と思います。
 いや、これは結構イイ終わりかたな気がする。
 流れさって、過ぎていく時間と、その中で受け継がれていく営みのバランスがなんだかんだでそれなりに取れている。孤独を選ぶ灯里、ってなんだかんだで久しいよね。人は所詮一人だし、みんないつかは死ぬけれど、その偉大な部分だけは風景の中に刻まれていく、という初期の認識にきちんと立ち帰れている気はちょっとした。
 その時間の流れに耐えて積もり続ける人性の偉大なるを示す風景、は話こなすのに追われて後退してしまっているけれど。