http://d.hatena.ne.jp/kim-peace/20080312/p1

明らかに虚偽の内容を捏造しライトノベルを貶めるような言説

 いや、今回の「ダ・ヴィンチ」の特集の年表はヒドいもんだったと思いますが。
 TRPGの文字がなく、電撃文庫が創刊と同時に人気を博していて、『エヴァ』と『ブギーポップ』に直接の影響関係があり、セカイ系の定義の的外れっぷりがどうよって感じで、サイバーパンクの項目もクソ嘘っぱちで、中身もgdgdじゃねえかと俺は思いました。
 ライトノベルを貶める、とは言えないにしろ、看過できない虚偽の内容であったかと。

 サイバーパンク云々についてまじめに説明すると。
 『ブラックロッド』と『ぼくらは虚空に夜を視る』をどちらもサイバーパンクの影響下に成立した作品、と称する事は間違っている。
 『ブラックロッド』は、言うまでもなく正調サイバーパンク小説であり、これはサイバーパンクムーブメントの極めて後発になる一作、とまずは評価しておくべき。
 一方の『ぼくらは虚空に夜を視る』はもっと古典的な擬似イベント擬似現実テーマの作品であって、コードウェイナー・スミスやディックや筒井や眉村卓のような、サイバーパンクムーブメントに先行する諸作家の想像力に接近する志向を強く持った作品である、と言っていい。ピンライターがBD、と評したのは水鏡子だったか。ピンライター、「鼠と竜のゲーム」も、BD、『うる星やつらビューティフルドリーマー』もサイバーパンクムーブメント上陸、『ニューロマンサー』翻訳出版の19851986年以前の作品であるのは言うまでもないわけで。
 『マトリックス』との設定の被りの理由は、サイバーパンクムーブメントの影響によりは、擬似イベントテーマという古典的な枠組みを両作品がともに採用したことに求めたい。
 サイバーパンクの定義はこの場合は小汚い未来を黒丸尚の『ニューロマンサー』の訳文か『ブレードランナー』の映像みたいに描いた作品、と思ってくれれば。上遠野浩平はルビも体言止めもああいう風には使わないよね。

 以下ひとりごち。
<ここから>
 もうみんな『ロードス島』のブームとか知らんのだろうなあ。「コンプティーク」が果たした文化的な役割とかー。とかとかー。PBM出身の賀東招二にインタビューに行ってるのになあ。あったことがなかったことになっている、というのは俺にはすごく気持ち悪い。
 80年代末のファンタジーブームが生んだ双生児としての富士見ファンタジア小説大賞と新潮社ファンタジーノベル大賞、か。神坂一佐藤亜紀が同時に産み落とされる奇怪な90年代文壇史の可能性がここに、か。
 あと、自分の作品から人生を学ぶなと繰り返す賀東招二はずるいと思いました。高々エンタメ、という免罪符がないと書けない繊細な人なのだなあとも思いました。
 繊細さという名の無神経をふりまくオサーンは好物ですが、残念、顔がキム兄過ぎた! もっと船戸明里キャラみたいになってくれんか?
 何がどう無神経なのかっつーと『フルメタ』読んでる時間も読者の人生の一部なんだからその時間だけ読者の人生から切り離せってのが無茶なのであって、そういう無茶をそれと気付かず平然と要求するあたりが無神経なのです。
<ここまで>