終了番組まとめ。

  • 遊戯王デュエルモンスターズGX
    • 作品全体を俯瞰して、結局何が描かれたのかというととても難しいのだけれど、敢えてまとめれば、デュエルにまつわる様々な人間模様、というあたりなのではないか。
      • この作品におけるデュエルは非常に多義的な存在で、それはフェアでエキサイティングなゲームであり、精霊たちとの交歓であり、デュエルアカデミアで収められるべき学問であり、ショーであり、悲劇的な結末をももたらしうる命がけの真剣勝負であり、勇気と友情の試練であり、世界を二分する二つの力動の相克であり、さらには巨大なエネルギーを生み出す儀式でもある。
        • このようなデュエルの様々なありように、様々な登場人物の生き様が交錯して、キッズアニメでは通常踏み込まない人情の機微の奥の奥までが描き出される。
          • その奥行きはしかし、丁寧に描写されるというよりは、饒舌なのに唐突な説明によってのみもたらされている、と言っていい。
            • 無論、このような饒舌は、カードの効果、プレイングの内容を説明するためにそもそも台詞が多くなる上に、エモーションとモチベーションをむき出しで叩き付け合うことができるデュエルという状況設定そのものによって許されるのである。
            • 例えば光と闇という言葉は幾度も、しかもそれぞれに違ったニュアンスでその対立が語られ、そのどちらが結局は肯定されるべきなのかは最後までよくわからない。
              • ダークネスの闇、優しい闇、破壊の光、太陽の化身たるファラオetc。これらの場当たり的な二項対立は、登場人物の立ち位置を撹乱し、その人物の造形の無闇に豊かな陰影を照射する。
            • 茶番に回帰する残酷さ。
              • 例えば授業はサボるのにデュエルはべらぼうに強い十代に、他の生徒がアパシーに追い込まれ、授業での手ごたえを失っていった佐藤先生。逆恨みと知りつつ十代の前に立ちふさがったその切ない胸のうち。
              • 例えばとりあえず進学を選んだもののその選択の前向きでなさに、周囲の観測、優等生なのだからデュエル研究に従事するのが当たり前という観測と裏腹に忸怩たる思いを抱え込み、プロデュエリストとしての一歩を踏み出したサンダーにも微妙に相手にされなくなって進路のあやふやな十代に少し色目を使ってみる明日香。
              • 例えばあまりと言えばあまりに唐突に十代との友情に殉じて見せたジムの姿を目の当たりにして心が折れるオブライエン。
                • 剣山を破った数少ないデュエリストであるそのジムの、ただの口癖のようだったfriendのために命をあっさりかけてみせた勇気も胸に沁みる。
    • 異様にビビッドな人間描写がいい加減な構成と作画にしっかり底支えされていた、稀有な傑作でした。これで育てる今の子供たちはうらやましい。
  • 魔法先生ネギま!
    • 教師を主人公とした学園ものならば、最後は教師の薫陶を受けた生徒が成長を示して終わらねばならないに決まっていて。
      • だから、明日菜はネギの代わりにクラスメイトにキスして回らなければならないし、超は偏狭な考え方を捨てて温情を示さねばならない。
        • まさに正しい学園熱血教師ドラマ。
        • 原作と違って生徒たちがネギにトラウマブッこむ糞袋兼ネギ賛美担当解説役に堕していない、という言い方はまあ、アンフェアなんだが。
          • ただ、ネギのいないところでの生徒たち、そして他の教師たちがしっかり、ネギの物語に回収されない形で描かれていた、とは言える。
            • ネギへの恋愛感情が極力排除されてるあたりもいいよね。
    • さておき、若月さらの足が美しい。
  • 『ウェルベールの物語第二章』
    • これぞIG!
      • 陳腐なストーリー、凝ってるようで無意味で話に絡んでこない設定、まるで細部への気遣いのない台詞回し、省力化の意図が見えすぎるCG、キャラ表無視の作画、センスも統一感もないデザイン、敢えて売れ線を外して見た結果コメントに困るキャスト、ボクらの愛したIGアニメの要素が満載!
        • 結果、どこともしれぬところへ突き抜けて無闇な酩酊感があった。
          • トランスアーツの微妙な作画も効いている。
            • IGのいつもの、は作画ですべてはごまかせるという思想。
              • それがごまかせてねえから我々はいつもため息をついて、「アニメは作画じゃねえなあ」と呟くことになっている。
  • 機動戦士ガンダム00
    • 苦し紛れに無茶な高速展開を繰り出す瞬間だけは楽しかった。
      • 『W』と比べると
        • お姫様と主人公が出会う
          • 1話と8話
        • ガンダムに対抗できるモビルスーツが登場する
          • 3話と19話*1
        • 主人公が殺した相手の遺族に謝る
          • 14話と19話
        • とかように同じイベントがはるかあとになってから起こる、つまりとろくさい展開を延々やっていたわけだけれど、ガンダムパイロットの一人が死ぬのが『W』では26話、『00』では23話でこの瞬間やっと『W』を追い越した、ということが出来るのではなかろうか。
    • まあ、目くるめく状況が変化していく『W』のスピード感と比較してかったるいなあとは思っていた。
      • ところで1話で一切出会いがなく、機体の能力だけが雑駁に説明される展開はやはりトロ過ぎたと思う。
  • ハヤテのごとく!
    • 楽しかった。
      • なんかこれはその一言でいいんでないかなあ。
  • バンブーブレード
    • こいつも上に同じく、と思わんでもないが。
      • 吉河先生尻軽だなあ、とは言うまい。
        • それがエロい、といえばエロいがそれにはもうちょっととっかえひっかえ感が欲しい。
      • 豊口にはいつでも欲情OKな俺だがキリノにはあんまり性的な気持ちにならなかったなあ。
        • だってそういうのを持ち込んだらこの心地いい距離感が……崩れるじゃないか!
          • 本気か。
      • ミヤミヤとかサヤとか町戸女子連とかにはガンガン来てましたが。
      • 小島幸子はどうしてアニメに呼ばれるたびに完璧な仕事をしているのに、レギュラーがよう増えきらんのか。
        • 外画で十分食えてるんだろうけど、声優アニメファンとしてはやっぱりアニメで聞きたい。
      • サトリナはネギくんの時に全然ぬぐえなかった優等生っぽさ、というのは『マリみて』の時もそうだったわけだけれど、あれ一辺倒からある種の鈍臭さを自在に発揮できるようになりつつあるように思う。
      • 広橋はまあ、すごいよ、そら。次が『ARIA』だといっそう際立つ。
      • 中原麻衣もよかった。ホントなにやらしても発声で萎えさせないよね。
        • フィジカルの強さに支えられた技術、という、アイム・アーツの理想がここに。
          • いやもうホント圧倒的、最近。
  • キミキスpure rouge』
    • 小清水亜美のここ何年かのベストじゃないですか?
      • 日野ちゃまは頼れる男の声でばんばか女を喜ばせたり振ったり……。魔性過ぐる。
    • サックスがちゃんとモテているようなので、何より。
  • ARIA the ORIGINATION
    • 案外原作に忠実、というか、原作がここんとこアニメに忠実だったよね、と。
      • ただ、クソッタレな改変はきっちりしてくるあたりがアニメ版クオリティー
        • http://d.hatena.ne.jp/gccbbs/20080326
        • あと大きなとこを挙げれば、ケット・シーとの別れ、それからケット・シーとの最後の淡いつながりのエピソードがないところ。それこそ成長の喪失と痛みってアニメスタッフ好みな話なんだけれど。
          • まあ、アニメではメールの相手はアイちゃんだからねえ。
            • どことも知れぬ誰とも知れぬ相手に届くかどうかもわからない手紙を送り続ける、なんて美意識はアニメ版スタッフの理解を明らかに超えているんだよね。
              • その時点でこのスタッフでよかったのかという疑問は沸く。
    • 死者たちの偉大なる痕跡の前に孤独に立つ、そのとき、風景が発見される、というのがまあ、原作の一番美味しいあたりなわけだけれど、アニメ版のスタッフは、孤独を信じない。
      • 孤立することで普遍へと至る回路、なんて、あんまりにも近代主義的過ぎるっちゃそうね。古臭いよね。わけわかんないよね。いまどきありえないよね。
        • 悪かったな、大好きで。
      • ところで、原作の構図*2はちょぼちょぼ引き継いでいるため、シナリオレベルでは丁寧に排除されている孤独は、アニメ版の画面にも結構残存している。
        • 人物をセンターに置かない、決めは引く、アップにするときの表情が基本的に自失している、など。
          • とある知り合いは濃密な死の臭いが画面からする、と言ってました。言い得て妙、だと思います。
            • 孤独なので、生きているものがあまり画面に入ってこない。
            • ある種の町漫画・背景漫画を死後の世界のアナロジーで捉える態度*3があるけれど、ネオヴェネチアは、それとは少し違った意味で死後の世界である、と言える。
              • かつて生きていて、今死んでいる人々の営為の積み重ね、としての風景。
        • そもそもあの原作を扱うには背景美術につぎ込んでるリソースが少なすぎるわけだが。
    • 広橋がアリスちゃんを見失ってる件はまあ今更もういいよ。
  • シゴフミ
    • 美術も原動仕も撮影も大変レベルが高かった。
      • あんまりDVD動いてないようなのだけれど、採算ライン高そうな作りなので非常にこう、わあ、と思う。
        • 最近のアニメファンがDVD売り上げをやたらに気にしているのは、アニメ産業につぶれられては困る、というのがまず一点。それからもう一点は、売れなかったアニメは消えてしまう、という問題だと思う。
          • どこからっつうと、「オトナアニメ」とか「別冊アニカンR」とか「このアニメがすごい!」とか「新世紀エンタメ白書」とか「現代視覚文化研究」とかの誌面から。
            • アニメージュ」「アニメディア」「ニュータイプ」あたりの誌面の扱いに軽重あるのはもう諦めるとして。月刊情報誌だから、読者のマジョリティの求める情報を素早く出すのが優先されるのはやむをえない。
              • でも、「AM」あたりってやっぱり底力のある雑誌だとは思う。例えば今月の『tt』・PAワークス特集とかすごくよかった。
              • 女の子さえいっぱい出てると案外「MEGAMIマガジン」で大きく取り扱ってもらえたりするよね。
              • 作画がよかったり制作体制が面白いと「アニメスタイル」の範疇に。
                • 作画悪くて制作体制に特筆すべき点がなくて売れてなくても面白いアニメがあるのが悩ましい。
            • 要はアニメに作品論的に踏み込んでいるはずの雑誌・ムック群ね。評論誌、というとアレだが、まあそういうしかあんめえ。
              • DVD売り上げ順に取り上げるんだったら評論の意味ないと思うのは俺だけか。
    • 文芸は……どうだったんだろう。
      • 文歌の両親、あんなに揃って面白い奴じゃなくてもよかったんじゃないか。
      • 現世レギュラー組がビジュアル的に地味すぎた。
    • 新井里美喜多村英梨の話は好き。『ぴっち』でちょこっと絡んでたってのを除いてもかみ合う声質だと思う。新井里美ってタチ、お姉さま声と単純にみなすには珍獣入ってるし、喜多村英梨の鼻声は単にネコ、というにはある種の精気を感じさせすぎる。その二人のズレが綺麗に重なって、無闇にラヴかった。
  • 獣神演武
    • ううむ、ひたすらに少年漫画系バカイチ
    • キャラクターの顔が三系統くらいしかなくて、名前もてけとーな音読みなので覚えにくかった。
    • 武侠みたいなのってやんないほうが良さそうだなあ、と思ってしまったアルよ。
  • のらみみ
    • 面白かったです。
      • だからみんなキャラ/キャラクター論で語るなら『しゅごキャラ!』じゃなくてこっちにしようよ。
        • 粗雑なことを言えば、『のらみみ』と『しゅごキャラ!』では、人物が引き受けている理不尽の距離が違う。
          • しゅごキャラ!』の理不尽は、リアルの引き写しであるところから生じる理不尽、『のらみみ』の理不尽はフィクションであることから生じる理不尽。
            • 理不尽源への距離が違う、というか。
              • 箱庭的な完成度がだから『のらみみ』のがぐっと高いよね。
                • フィクションであることで引き受けさせられるもの、それをキャラと呼んでいること、そのあたりはキャラ/キャラクター論と多分相性がいい。
                  • うさぎのお化けの懊悩は容易にまんがのお化けであることにぶち当たるという、そんな。つか、まんま。
                • しゅごキャラ!』のが古典的な分、徹る。
  • 灼眼のシャナII
    • 撮影・仕上げの美麗さはちとすごい、と思った。
    • 前半多少タルかったけど、後半は話ガンガン動くし、相変わらずトータルではまあおもろいもんみた、という感想。
  • 君が主で執事が俺で
    • 伊藤静のみゅーたんいじりはじめ女性キャラ相手の芝居でだけ無闇にこなれる演技がやっぱり不思議でした。
  • 『H2O』
    • 小清水が女の子を押し倒していてパラさまか、と思った。
      • 櫻井浩美はできなきゃならないことが大体できていて芯のしっかりした大沢千秋って感じの声もいいし、もっとブレイクしていいのに。
        • 声細いのに叫べる。声の変化は大小自在。いいと思うんだけどなあ。独特の癇の強そうなニュアンスとかさ。
  • みなみけおかわり』
    • いや正直高梁碧のことしか考えてなかった。
    • 内田可愛いよ内田。
  • 狼と香辛料
    • 見返してみるとロレンスってルルーシュだなって思う。
      • 頭いいけど女に弱い青二才。
    • 小清水は全然カレンでないけれど。
      • こちらの構え次第でどんなニュアンスでも読み取れる無闇に豊かな含み、は一番生かせている役かも。
        • ちょっとした工夫で出来る役、はこのニュアンス全部捨てることになるから詰まらん、といえばいいんだな。
          • それこそカレンとか。

 思い出したら追記するかも。

*1:15話と言ってもいいか。まあ、どの道遅い。

*2:コマに描かれた絵そのものの。

*3:http://www1.odn.ne.jp/kamiya-ta/yotubato3.htmlとか。