俺の観察によれば、作画マニアは声優、声ヲタはプロモーション、プロモーションヲチャーは文芸、文芸派は作画でアニメが売れると思ってしまいがちである。という四竦みはちと綺麗すぎるわけでは無論あってややこじつけの感がぬぐえなくはないのだけれど、作画マニアが声優でアニメは売れる、と主張している現場には幾度か行き会ったことがあるし、心ある声ヲタたちにとって声優の良し悪しがアニメの売り上げに大きくは関与しないことは常識であり、であれば現代社会の常識として売り上げの決定要因として広告展開を持ち出すのも声ヲタの習い性、お話が面白くないと、と主張するプロデュースサイドの人間、お話が破綻しているのに絵が綺麗なだけのアニメが売れていると主張する物語重視タイプのオタクにも心当たりがあるのでまあ、そんなに外してもいないのだろうとは思っている。
 無論、これはアニメの作品としての寿命をかなり致命的に左右するアニメの売れ行きが、自分の最も評価している部分で決まっているようには見えないことの説明を、自分が最も評価していない部分に求めているだけの話であって、バランスのいい豪華声優陣をそろえながら売れなかったアニメ、プロモーションを大々的に展開しながら売れなかったアニメ、脚本・演出は完璧と言っていいのに売れなかったアニメ、超絶作画のオンパレードながら売れなかったアニメ、それぞれいくらでもあるのだけれど。
 アニメはどうしたって総合的に売れるのであって、声優が豪華でもプロモーションに力を入れなければ売れないし、プロモーションを大々的に展開しても話がつまらなければ売れないし、話が面白くても絵がヘボかったら売れないし、絵がすごくても声優がヘボいと売れない、ってそれホントか声優ってアニメの売り上げに一切関係していなくないかって思うのは俺が声ヲタだからなんだろうな世の中にはきっと作画がよくて声優がヘボかったがために売れなかったアニメもあるのだろう、具体的には思いつかないけど。
 さて、総合的に、というのはなんとなく、の言いかえでもちろんありえて、つまるところ、アニメが売れるか売れないかはなんとなく見る事で判別する事ができる、なんとなく面白いと思った人こそアニメを買っているはずなのだが、なんとなく、という位置に人はあまりしがみつくことは出来ないようになっている。
 アニメ好き、として一歩踏み込む瞬間、アニメに対するその人なりの構え、注目するポイント注目しないポイントの偏りは避けようもなく生じてしまう。
 このような偏りが、ざっくり分類すると冒頭の四竦みになる、ような気がしているわけだが、好きになることで見えなくなるものがある、てのは、まあ、なんともままならない話であることです。