ワシジャパン惨敗。
 我々パヲタは1001氏ねを半年前から連呼してきたわけですが、それが何もこんな形で結実せんでもな。
 敗戦の要因はそうね、四つくらい考えられるかしら。
1、選手選考がおかしい
 上原、阿部、森野とシーズンで結果を出していない選手を連れて行ったこと、外野手を四人しか選ばなかったこと、捕手を三人も選んだこと、左のリリーフ投手を岩瀬しか選ばなかったこと、国際経験を過剰に重んじた選考をしたこと。
 上原だけは復活したが、阿部と森野は確実に打線を切ってしまったし、外野手不足と捕手過多は選手起用の柔軟性を失わせた。
 常識的に考えれば、二十四人で短期決戦をするのならば投手十一人・捕手二人・内野手六人・外野手五人くらいのバランスを考えるべきではないか。実際には、投手十・捕手三・内野七・外野四という歪なバランスになってしまった。
 投手の内訳もまずい。
 四連戦、三連戦、ニ連戦の九戦を中四日で回すのならば、先発投手は四人いれば十分だ。しかし、現実にはワシジャパンには先発投手が七人もいた。七人のうち川上は今年リリーフ登板もこなしているからまあリリーフとみなしてもいいだろうが、それでも六人はあまりに多い。中継ぎ左腕は足りなかったのだから、杉内・和田・成瀬のうち一人にはリリーフに専念させる手もあったろうに、結局この全員を先発させている。その結果がリリーフ左腕不足による岩瀬の登板過多と被弾だ。
 四人の先発にアクシデントがあったときの保険に五人目の先発を用意しておくことまではいいだろう。それは中継ぎ兼務の投手=川上の役目ということでいいはずだ。代打を積極的に出すわけでもないのに敷かれた捕手三人制の影響でただでさえ窮屈な選手枠に、さらに二人の先発候補を押し込んで、いったい何がしたかったのか。
 常識的に考えれば、今季のNPBを見る限り
・先発
 ダルビッシュ、岩隈、杉内、内海
・リリーフ
 藤川、永川、加藤、岩瀬、山口、川崎
・兼任
 川上
 といった選考になるべきではなかったか。
 今季の成績は振るわないのに選ばれた涌井と成瀬と上原はたまたま結果を出したが、和田は打ち込まれた。涌井と成瀬と上原が好投したのはいずれも格下相手の試合であり、強敵アメリカには和田は通用しなかった。球数が多く内容の安定しない、今年の和田ならこんなもの、という投球であった。
 和田や上原、予選で投げた涌井と成瀬が選ばれたのは、国際経験を重視してのことだ。
 しかし、国際経験、国際試合のペナントレースとの異質さを指揮官が強調しすぎたことは、選手にいらぬプレッシャーを与えはしなかったか。中島は、西武のような野球はできない、と告げられたという。NPBMLBに次ぎ、キューバリーグに匹敵するレベルの高いリーグだ。お前たちは世界で二番目のリーグのトッププレイヤーなのだから、いつも通りにやれば勝てる。監督はそういうべきではなかったか。そもそものワシ野球とはそういうものであったようにも思うのだが。
2、打線の組み方がおかしい
 日本は、散発的にではあれ、ヒットは結構出ていたのだ。
 にもかかわらずそれが得点につながらなかったのは、打線の組み方が悪かったからに相違あるまい。
 短期決戦は調子優先。であれば、チーム一の出塁率を記録していた中島は主軸で使うべきだった。
 新井四番と青木三番にこだわりすぎて、ワシジャパンは効率的な打線を組めなかったように見えた。
 選手の格を重んじ、中心となる選手をそれなりに扱うワシ野球は、チームに一定の秩序と組織を作り上げられるから、長期的に結果を出すためには有効だが、短期決戦には向かない。それはワシの三度の日本シリーズで証明されている。
 そもそも、新井や森野と中島の間にそこまで明確な格の違いがあるだろうか。なるほど新井は元本塁打王だが、中島は目下の首位打者だ。森野に至っては、タイトルに絡んだことは一度もないどころか規定打席に到達したのがわずかに一度、今年も試合に殆ど出場していない、正直オールジャパンの先発に名を連ねられる格の選手ではないだろうに、何故か好調中島よりも優先的に起用された。ワシの中にはセリーグパリーグという抜きがたい偏見があるように見えた。
 正直、中島が四番を打っても*1恐らく他の選手たちは不満を抱きはしなかっただろう。当たり前の話だが、誰が四番を打ってもおかしくはないレベルの選手が揃っているのがオールジャパンなのだから。
 それから、打線がつながった試合では、九番が機能していた。
 DH制の下では、九番打者は上位打線につなぐ重要な役割を担っている。九番にはつなぎ役の打者を入れるのがDH制での常道だ。その九番にたまたまつなげる中島や西岡が入っていた試合では、日本打線は機能した。が、村田や里崎やG.G.、中軸からあまった大砲をとりあえず入れておいた試合では打線はつながらなかった。当たり前である。
 下位打線を鍛えるのが監督の本当の仕事、とは常総・木内監督の至言であるが、下位打線の役割をワシは理解し損ねていた。八九番には代打を出すセリーグ野球は、エースが四番を兼ね得る高校野球よりも下位打線の重要性を軽んじうる野球であり、DHありの野球にワシは対応できていなかったのではないか。
 本来のポジションではない守備位置につかされた選手が多かったのも疑問だ。阿部や里崎ではなく、中島やG.G.のためにDHは使われるべきではなかったか。これも選手選考の偏りが原因なのだが。
3、投手起用がおかしかった
 選手選考でのしわ寄せが現れた形でもあるのだが、岩瀬は引っ張りすぎる、藤川・上原は温存しすぎるちぐはぐさ。田中の目的のはっきりしない起用法、涌井に七回完投後中二日でのリリーフを強いた無理使い。成瀬を先発で無駄使いしたことで、岩瀬の負担をさらに増やした。成瀬の先発は結果が出てしまったのが悩ましいところだが。しかし成瀬を先発させるなら和田をリリーフに回すなどすればよかったのに、そういう工夫をしなかった。
 そしてその和田を引っ張って負けたからといって、杉内を最初のピンチで降板させる。羹に懲りて膾を吹くとはまさにこのことだろう。
 投手起用に関しては、今回のワシは打つ手打つ手全て裏目に出た。予選で勝った先発三人は、カナダ戦の成瀬以外勝つべくして勝ったとしかいいようがない。NPBの一軍ローテに入ってくる投手ならば、涌井と杉内が抑えた中国・台湾・オランダにKOされることはまずないはずなのだから。カナダ戦に成瀬を先発させた。これが、今回のワシ采配の唯一のあたりではなかったか。その成瀬の選出がそもそも疑問であるあたり、痛し痒しではあるのだが。
4、故障者の無理使い
 DHでならば出場できた西岡はともかく、新井・村田・川崎は合宿段階で代えるべきではなかったか。アテネで故障して以降、巨人移籍まで不振を極めた谷のことを忘れてしまったのだろうか。三塁手なら中村紀・中村剛・松田・今江、一塁手なら松中・小笠原、遊撃手なら鳥谷、二塁手なら東出、オールマイティに関本など、代わりの務まりそうな選手はいくらでもいた。
 なお、村田が回復しなかった場合は、岩隈を選ぶ予定だったそうだ。
 本職の三塁手が一人もいない選手構成に不安を抱いたりは、ワシは恐らくしなかったのだろうなあ。
 
 選手選考で失敗し、まともな打線も組めず、継投は全て裏目。故障者へのケアもなし。
 こんな疫病神のような指揮官の下で勝てというのは不可能に近い。
 次は古田ジャパンあたりでいいんじゃね、と思うが、何はともあれパリーグを見ていてセイバーの基本くらいはわかっている指揮官をお願いしたい。
(ついき)
 かえすがえすも選手たちは不幸だった。シーズンを棒に降らされた川崎・新井、本塁打王争いで決定的なディスアドバンテージを負わされた村田。心身にダメージを残された岩瀬・川上。G.G.のエラーにしても、最初の一回はただの不運に過ぎない。どんな名手でも、信じられないエラーをしてしまうことはある。その不運から生まれたピンチをしのいだ左のエース杉内が降板させられたとき、ちょっとした不運は許されざるミスになった。左のエースが失策絡みの失点はあったもののすいすいと投げていく楽な試合が、中継ぎが手薄なのに小刻みな継投を強いられる苦しい試合になった。僅差でも絶対的なエースが投げているのと不安の残るリリーフ陣がつないでいるのでは野手の緊張感はまるで違う。そんな重苦しい展開のなか、この前2イニング目に打たれた投手がその2イニング目を投げているとき、結果的にエースを降板させてしまった野手のところに球が飛べば、エラーするに決まっている。あのイニングがおわったあとに懲罰交代、翌日はまた先発、というのが正しい汚名返上のチャンスの与え方だ。無論、G.G.と交代させるべき、同程度に打撃で期待できる外野手*2はベンチに存在しなかったのだが。
 ところでワシはサブローや井端を選ばなかったことを批判されていると思っているらしい。今年のその二人を選ぶべきだとは恐らく日本中の誰も思ってはいない。この人、まさかとは思うのだけれど、本当にNPBのゲームを見ていないのだろうか。なんでもできる外野手なら内川、ポジションに融通の効く内野手なら関本ではないのか。井端は素晴らしい選手だが今年は故障、サブローはそもそも好不調の波が激しく毎年打率ドンケツ争いをしていてバレンタインならずとも日替わりで外したくなる選手であって、今年も案の定だ。無論、サブローを一昨々年の日本シリーズと去年のアジア予選でしかみたことがなければ三拍子揃った好選手、と信じたままでいられるだろうが。本当に、ワシはペナントレースを見ていないのか? そんなことは絶対にない、と信じたいが。

*1:三番に据えるべきだったろうと思うが。

*2:ところで、韓国はG.G.の肩を随分と警戒しており、左方向の単打では二塁走者を本塁に突入させていない。これだけ警戒させただけでも、G.G.は守備で十分貢献したといえるはずだ。ワシは、三位決定戦の前に、G.G.にそういうことを言っただろうか。