すこし落ち着いた。
 四月の頭に首位に立って以来、一度もその座を譲らなかった優勝でした。
 交流戦での大ブレーキ、マジック1での足踏みはあったものの、終わってみればパリーグ対戦成績負け越しなしの危なげのない完全優勝
 選手の成長と言えばそうなのだけれど、代わりに去年は和田とカブレラ、球史に残る最高の右打者コンビがいたわけで、実力伯仲のパリーグではちょっとした歯車の噛み合わせ、運命のめぐり合わせで首位から最下位まで、どこにでも行っちゃうよな、と思うばかり。例えば五輪期間中に見事な穴埋めを見せた後藤武敏に関して言えば、技術的にはとっくに完成されている選手であって、ちょっとしたきっかけ、早い段階でたまたま一本出たか出ないかだけが去年との違いなんじゃないかと思うのですよ。大沼がオープン戦でいい内容の投球をするのも毎年のこと。
 厳しいプロの世界で偶然で勝ち負けが決まるのか、というと、才能家たちがギリギリのせめぎあいをする厳しいプロの世界だからこそ偶然が結果を決定的に左右するのだし、偶然に左右されるからこそ厳しいのがプロの世界だとも言える。
 あとの楽しみは個人記録。中島の首位打者&最高出塁率、片岡の盗塁王最多安打、中村の本塁打王&100打点。栗山の10本塁打ブラゼルの30本塁打&90打点、赤田の打率2割5分、江藤の通算1000得点、義人の通算打率3割……は今年はもう無理っぽいので出来るだけ打率を上げて……。
 打線は楽しみな記録がたくさんあるけれど、投手陣はさほどではない、というのが今年の戦い方を象徴しているような気がします。涌井の10勝くらいですか、これから達成できそうなのは。
 ここへ来ての足踏み、CS・日シリを危ぶむ声もあるが、日本一経験のある選手も多いし、そこまで心配することはないと思う。CS・日シリなんて飾りです。
 むしろ、心配は来期以降。伊原・伊東も就任初年度に優勝して、その後勝てなかったわけで、勝った時こそ補強しろ、の星野理論の正しさをよく示している。
 今、西武に欲しいのは、先発もう一枚、絶対的なセットアッパー、左の中継ぎ、絶対的な外野のレギュラーもう一枚、万能型の内野の控え。
 新FA制度を活用し、トレードも解禁して戦力を整えて欲しいところ。
 C級FAで狙えるのは
・セットアップ:F建山、T福原、D平井、YB川村
・左リリーフ:M高木、G藤田、YB土肥
・先発:T福原、YB土肥
・外野:S福地
・内野:H本間、G木村・古城、S城石
 といったところ。
 100勝未満の先発は獲ったほうが損をするのがこれまでのFAだったが、人的・金銭補償なしならば福原や土肥のような投手を獲得するのもありだろう。
 出血覚悟ならば狙いはS五十嵐一本。リリーフ専任でFAまで来る選手は活躍する。
 トレードの軸として考えられるのは長田・野田・高山・大島あたりか。
 無論、ドラフトにも期待したいが、近田怜王に興味がなくはないくらいの話しか伝わってこないんだよな……。まあ近田はいい素材だと思います。左腕は質量ともにたらないのでそこそこの順位で確保できたらいいなあ。