高木浩之の引退セレモニーに行ってきました。
 高木浩之と言うのはファンにも首脳陣にも愛された素晴らしいプレイヤーだったのだけれど、なにがどう良かったのかを説明するのは結構難しい。規定打席に到達して2割8分打ったこともなく、足はああ見えて意外に鈍足*1、守備の名手ではあったけれど堅実一方で華はない。三振はしないが、四球が多いわけでもない。バントも無難にはこなしたが、上手かったという印象はない。意外と調子の波が激しく、なおかつ絶好調が長続きしなかった。それでも何かをやってくれると期待させるものがあって、その期待に確かに答えてくれた選手でした。勝負強く、フル出場していない九番打者で、通算本塁打はたったの十本なのにレギュラーを張れば三十打点前後をたたき出す、恐怖の九番でした。実際東尾時代、伊原時代の強かったライオンズのキーストーンには、いつだって浩之の小さな影がありました。
 そんな浩之のセレモニー、松坂マネーで作った大型ビジョンL−ビジョンに流れたのは、以下の贈る言葉

抜ける、と思った打球を掠め取るのが実に上手い男だった。
決して恵まれた体躯ではないが、
野球を愛する心は誰にも負けなかった。
ライオンズの二塁手らしい、
いぶし銀が今シーズンでユニフォームを脱ぐ。

高木浩之
僕はその男を忘れない、
そしてその男の新たな門出にエールを送る。

西口 文也

 そう、同期入団で同い年の西口からの贈る言葉
 確かに、西口が足元を抜かれて呆然と振り向いたその後ろで、打球を抑えている浩之を俺たちは何度も見た。
 浩之の現役最後の瞬間に言葉を贈るのに、これほどふさわしい男もいないだろう。
 実に粋な演出*2なのに、マイク前の浩之の挨拶はぎこちない。それがまた実にらしくて、場内を一周する間、手を振るだけでなくいちいち足を止めてはお辞儀するさまも高木浩之だなと思わされました。
 ナインとの挨拶のとき、江藤の胸で泣き崩れ、花束を渡した西口ももらい泣きしそうな顔*3
 最後は二塁の位置で胴上げされました。
 高木浩之選手、14年間お疲れ様でした。
 
 試合?
 引退試合は何故こうなるんですかね。
 去年の貴のときはボコボコだった沼がビハインド神だったのはよかったです。まるで豊田のような外野フライ三つ〆。
 と栗の十号も。
 まあ、小松―キニーの時点で負けは覚悟はしていたのだけれど……。

*1:ベースランニングのタイムはカブレラと同じ。

*2:そして西口の文章が妙に上手い。

*3:元から言うな!