とらドラ! 14話「しあわせの手乗りタイガー」

 伝言ゲームがドラマを展開させシークエンスをつないでいく、実に岡田麿里的な傑作エピソード、と言ってよいのではないでしょうか。
 なんで麻耶が野中藍なのかずっと謎だったのだけれど、この回でその理由の一端がやっと明らかになったような気がします。本筋から浮いたところで北村に恋をしている女、のその喜多村英梨釘宮理恵堀江由衣の三角形の中にも入り込めず、その底辺の下に潜みおるわけにも行かない浮いた存在感、本編随一のバカ女、という位置付けだったのね。だからほっちゃんよりもあるいはより天上的な藍ぽん、と。
 藍ぽんに限らず、今回は声優の演技がみなよかった。
 連続TVシリーズの中で突然どの声優もいい仕事をしだす時には、往々にしてアフレコに絵が間に合っている、というけれど、この回はひょっとしたらそうだったのかもしれない。
 伝言ゲームでエピソードに軸を通すとは、同じ言葉という不動点を作ってやることでその置かれる文脈の差異をあらわにしてやる、即ち個々の人物の動きよりもそれらが集合的に形作る群像を描くのに好適な手法であるけれど、引いたカメラの多い長井監督の絵コンテもまたそのような群像をよく印象付けていたのではないでしょうか。