高屋奈月『フルーツバスケット』20巻

 楽羅はかっけえなあ。
 楽羅の失恋話が12巻で、そこから8巻ごしの伏線、という、この気長さがフルバ。
 そうだよね殴るしかないよね。
 無論、大失恋をした女の子は相思相愛なのに何もしない恋のライバルを殴っていいくらいには偉いのだし、しーちゃんに甘やかされた透君には自分の理屈を押し付けるくらいの人がいたほうがいいのである。
 うおちゃんはなちゃんとか杞沙とか衣鈴*1とかの人間関係距離感覚のおかしい面々との関係に比すると、楽羅と透の我を通しあえる関係は随分と健康的に見える。
(ついき)
http://d.hatena.ne.jp/ichiyang/20060521
 こちらを見て、確認のために読み返し。11巻ではなく12巻でした。
 先代猫憑きの伴侶の台詞のあとに楽羅失恋、か。
 で、透の自分に対する好意を知った夾が心中で連呼するのがまさにその可哀想、というフレーズ。
 

*1:あれだけイヤな事ばっか言ってた人が「おまえの理屈を透に押しつけるなよ!!」てのは一転甘やかしすぎ、というやつではないかい?

かわぐちかいじ『沈黙の艦隊』15〜

 http://www.geocities.jp/wakusei2nd/banana.htmlに触発されて、近所のブックオフで立ち読み。
 終盤のどんどん神がかっていく海江田は戦後日本の鬱屈云々じゃなくて作家が自キャラを崇拝しだしてしまう現象に過ぎないんじゃないかな。だってシーウルフの猛攻をしのぎ大西洋艦隊40隻を撃破したんだぜ? すごくね? ていうかすごいよ神みたいだよ? って作家が思ってしまったんだろうなあ、と。
 作品の中で起こってしまった事に作家自身も流されていってしまう感覚、て長期シリーズならではで、大変面白かったです。
 やまと保険はどうなったのだ、それはいいとして。
 

こうの史代『夕凪の街 桜の国』

 そのブックオフにて100円で購入。
 堪能したけど、多分これはこの人の最高傑作ではないんでないかな。
 なんとなくそういう感覚があります。特に「夕凪の街」の恋人になった日に倒れる作為っぽさとか、こう言う事をしてみました感が漂う。
 この人の他の作品が読んでみたいです。というか読もう。
 

山口貴由『シグルイ』6巻

 盲目描写としては『夕凪〜』よりもこっちの方が、とか。
 ネタ的ななんとかとかさておいて物凄いテンションです。作者が心配になってきます。
 目が見えない事の恐怖を全てが見えているはずの視覚メディアでここまで味わわされようとは。