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『スカイ・クロラ』感想続き。
空戦描写は正しいんだろうけれど圧倒はされなかった。
ぶっちゃけフラップなんてコマ送りしたら動いてた、でいいのであって、ゆっくり大写しされても困る。
究極のレシプロ*1というコンセプトが、そもそもものすごくマニア向けな気がするんだ。
レシプロ機の性能が究極に達したのって第二次世界大戦中期以降だと思うのだけれど、この時期の制空戦闘って身も蓋もなく優速な方が、2000馬力級エンジンを実用化できたほうが勝ってたわけで。
人間の反応とか耐G能力の限界は、レシプロの限界よりは高いところにあるだろう。
どれくらい? Gで目がつぶれるくらい。
はい、ええ、『マクロスプラス』の話が出ましたが、あれに比べれば『スカイ・クロラ』の空中戦は全然のどかなわけですよ。だけど、空中戦でのどかさを出したい映画では『スカイ・クロラ』はない。じゃあどうするか。それこそパイロットのテクニックを見せてやる、つまりコクピット内での所作*2とそれに応じた機体のマニューバをわかりやすく見せてやればよさそうなものだが、リアリティ志向の『スカイ・クロラ』ではパイロットは操縦桿とスロットルを握り続けちょっとだけ首を動かす以外のことをしない。
他にも、コクピット外のカメラが大状況を俯瞰してくれないので何が起こっているのかいまいちわからない、雲が無駄に多い、白っぽい空に銀色の機体なので目立たない、コクピット内部の状態と外部の状態がどのように対応しているかぱっとつかめない、各人の機体の区別が瞬間的にはつかないなどなど、とにかく迫力とわかりやすさを阻害する要因があまりに多い。
のどかさに徹した『紅の豚』のほうが却ってかっこいい、という矛盾。
すたぶ。