とある魔術の禁書目録

 井口裕香があまりに愛らしいが、残念ながら会話が会話になっていない。
 文字通り原作が読めてないような気がする。
 原作を読んだけれど意味がよくわからなかったのでそのまま起こしたような会話が多すぎる。
 例えば。

当麻「なんだそのアイアンメイデンは」
インデックス「日本語では針のむしろという」

 インデックスが自分で直した服のマチ針やら安全ピンやらが飛び出しまくったさまを喩えた言葉であるが、アニメではそのような描写はあまりされていない。安全ピンは胸元についてるけど、それだけで理解しろというのは厳しい。
 例えば。

当麻「どうしたんだよ、いったいどこのどいつにやられたんだよ」
ステイル「あーん? 僕たち魔術師だけど」

 フツーに見ていると、ステイルがいきなり自己紹介をはじめたヘンな人だ、と思えてしまうが、これは恐らく「どこのどいつに」という疑問に対して「僕たち魔術師です」と答えているのだ。
 案外親切な人である。
 だが、これが受け答えであると理解させるには、時間的に近接させておかなければならない。
 これを、この作品はしていない。台詞があってステイルのビジュアル紹介、とせなばならないのに、ステイルのビジュアルが出てきてから台詞になっている。こんなん編集段階でさえ直せるミスだと思うんだが。
 全体に、売れているのだからいじってはなるまい、この会話の諧謔味とかテンポとかが人気の秘訣と考えて原作の会話をそのまま起こしたが意味を取るに失敗しているのでちぐはぐな仕上がりになっている気がする。インデックスと当麻の会話のかみ合わなさ、魔術はナシで超能力はアリという世界観の納得のいかなさ、教会なので包丁で刺しても平気というロジックの意味のわからなさなど、明らかに原作が悪い、か原作では地の文で説明されている要素が台詞に起こされていないかでなんだこりゃ、になってしまっているんじゃないかしら。
 映像のクオリティはじつに高いのだが。
 大筋としてはまあいいと思うのだが。
 井口裕香が可愛いだけに残念です。サトリナはハタチニートなんちゃって女子高生だと思うと異常なハイクオリティ。中学生? ああ、ていう設定なのね(違